俺色〜ある草食系男子の日々
・・・俺たちは・・・ここまでなんだろうか。
じゃっじゃっ、と積もりかけた雪の上を歩く俺の足音だけが、闇に響いて・・・・
ん?
元来た道を戻りかけた俺の耳に、かすかに聞こえた音楽は。
陽斗・・・・・・?
静かにまた降り出した雪がややもするとその声を吸い取っていくような、そんな感覚に、俺は徐々に歩幅を広げて、その音のする方向へ向かった。
・・・・ひなた。
どんな風に表現すればいいんだろう。
もちろん、誰もいない客席で、ちらちらと降る雪の中、空に向かって歌っている。
昔の陽斗がそのまま重なってゆく。
なんで・・・なんでこんな心を揺さぶられる音楽がこの世にあるんだろう。
それはまぎれもないharuの音楽。