俺色〜ある草食系男子の日々
「喜三郎くん・・・」
「いや、紺野でいいですよ」
あんまりその名前連発してくれないほうが・・・
そういった俺にゆぅさんは初めて笑顔をなくしてきょとんとした顔で聞くんだ。
「いい名前じゃないか。キミの親御さんはきっとキミを大事に大事に思ってたんだね」
ってそんなことを真顔で言われたことなんてなくて。
一瞬頭の中に忙しそうに働いてる両親の姿が思い出されて、
俺は柄もなく顔を赤くしてしまった。
おかしい。
こんなこと、普通ならウソくせーとしか思えないような言葉なのに、
目の前のこの「ゆぅさん」の口から出ると、すべてが心からの言葉だって俺にもわかる。