俺色〜ある草食系男子の日々
「あ、紺野さん、もう帰られるんですか?」
陽斗を見送り、振り返りざまに、女性に声をかけられた。
いつの間にか、「紺野」から「紺野さん」、って呼ばれることが多くなったな。
それだけ年をとった、ってことか。
「もう少し仕事が残ってるから」
そう答えた俺に、
「良かったら、少し、いきません?」
ジョッキをあけるマネをする彼女に、俺は笑って答えた。
「ごめん。仕事終わりそうにないから。それに俺あんまり飲めないし」
「そうなんですか~?」
じゃぁ、と手を挙げ、デスクへと戻る。
一生懸命頑張ってた陽斗の仕事をしあげたいのは本当なんだけど・・・
ごめん。
女の子と飲む、っていうことが俺の中ではもうないんだ。
そりゃ、仕事でどうしても、ということはあるけど。
プライベートでは・・・・あれ以来・・・。
こんなだから、どんどん「妖しい奴」になってってしまうんだろうな。