俺色〜ある草食系男子の日々
「お疲れ」
「え?もう帰るんですか?」
カバンを持ち上げた俺に、カズマは意外そうな顔を見せた。
「ちょっと、今日は、な」
「へぇ~~・・・もしかして・・・?」
「残念ながら男友達だよ」
「なんだ~てっきり女の子だと思ったのに」
カバンの中に書類を入れながらカズマの声を流し聞く。
「だって、今日広報誌の取材で好みの女性のタイプは?って聞かれて、紺野さん、『年上』って言ってたじゃないすか。なんか意外で」
「意外?」
「紺野さん、しゃきっとしてるし、しっかりしてるから、てっきり甘えられる方がいいのかな、って思ってたんですけど・・・」
「はは、適当に答えただけだからな・・・じゃ、おつかれ」
「え・・・?あ、おつかれ、さまです・・・」
オフィスの廊下を歩きながら、
カズマやるな、と思う。
結構人のことを見てるな。
この仕事にはかなりうってつけ、だと、偉そうに思う自分がいて、
だから、すぐに追い抜かされるんだって、って一人突っ込みながら会社の外に出た。