俺色〜ある草食系男子の日々
「陽菜ちゃん・・・」
多分、走ってきたんだろう、ついた荒い息を隠しもしないで肩を上下させてる人。。。
「ひなた・・・」
何年ぶりの再会かわからない。
けれど、ひなたは廊下のベンチに座り込む陽斗めがけて早足で歩いていく。
ひなたが横を通り過ぎた時、懐かしいにおいがした。
全く、変わってない。
陽斗はほとんど表情を変えずに、暗い顔のままでひなたを見て、のろのろと立ち上がり
関係者だけに許されている、陽菜ちゃんとの面会をひなたに促した。
「ヒナ、ちゃん・・・なんでっ」
部屋の向こうでひなたの驚きと悲しみの声が聞こえる。
俺は、動けずに、ただ黙って突っ立ったままだった。