その日、僕は神になった

　朝の訪れは憂鬱で、何度目覚まし時計を壁に叩きつけてやろうかと思い、その一歩手前で踏み止まったことだろうか。俺は一つ大きな溜息と共に、重い腰を浮かせた。
　階下のリビングのテーブルの上には、ラップに包まれたハムエッグが置かれていた。棚から食パンを取り出し、トースターに突っ込む。冷蔵庫を開けると牛乳があったが、俺はそれを無視して扉を閉じた。牛乳なんて中学の時に飽きるほど飲んだ、それなのに結果はこれだ。牛乳を飲んだからといって、背が伸びる訳がなかったのだ。DNAにお前の身長は160センチまでしか伸びないと刻み込まれていたのだから、抗える訳がなかったのだ。
　賑やかな朝食、テレビから流れる笑い声がそれを演出していた。両親は楓真が起きる前に、すでに仕事へと出かけていた。まぁ、朝からこんな奴の顔なんか見たくないって訳だ…。