その日、僕は神になった
 家族三人で食卓を囲んだのなんて、いつ以来のことだろうか?朝食はこのざまだし、夕飯は冷蔵庫に用意されたものを温めて食べる。
 くだらない。別にそんなことを望んでいる訳じゃない。俺はもう餓鬼じゃないのだ。
扉を開けると、秋晴れの空が広がっていた。そのあまりに濃いい青色に、気が滅入ってしまいそうだった。
学校まで続く道を歩きながら、何度後ろを振り返ったことだろう?このまま引き返そうか、俺一人が休んだって誰も気に止めやしない。職務上、担任が家に電話をかけてきたとしても、俺が無視をすれば誰も出やしない。いちいち親の職場にまで電話なんてする訳もない。それを幸か不幸かどちらの意味で取るか…、そんなことを考えている時点で幸ではないか。
 そんな葛藤をしながらも、結局俺は学校に向かった。何のために、って?行っても苛められるだけだろ?そうだよ、その通りだよ。それでも俺だって十七の男子だ、こんな見た目で、こんな性格でも、人並みに抱く感情くらいあるのだ。その思いが俺を、引き籠りと言う道から救っていた。
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