その日、僕は神になった
 誰にも歓迎されないまま教室の扉をくぐると、窓際の一番後ろの席に着いた。朝のホームルーム前の賑やかさが教室中に溢れている。昨日のテレビ番組やお笑い番組の話題で盛り上がる中、楓真の周りだけがお通夜のように静まり返っていた。
 ざわめきの中、その中心に立つでもなく、だからといって俺のように疎外されるでもなく、周りに合わせてはしゃぐ彼女を盗み見た。
 こうやって彼女のことを目で追うようになったのはいつからだろう?かれこれ三年が立とうとしている。彼女とは同じ中学卒業で、中学時代の二年と三年の二年間を同じ教室で過ごし、一年のブランクを置きまた一緒のクラスとなった。
< 158 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop