その日、僕は神になった
 この思いを告げようなどと、そんな愚かな考えはなかった。ただこうして一日の間に何度か、本当に一度か二度、さり気なく彼女のことを盗み見れればそれでいいのだ。そしてその日の彼女の笑顔を家に持ち帰る。よからぬことに利用するのではないか?一度としてそんなことをしたことはない…、と自信を持って言い切ることは出来ない。何度か、正確な回数までは覚えていないが、指を折り曲げて数えることが出来るくらいの回数は、悪用したことがある…。
 欲望が満たされ、それでも尚、猛り立つそれを眺めていると、焦燥感にも似た自己嫌悪に陥った。自分が物凄く厭らしい生物に思えて来るのだ。その行為事態を否定する訳ではない。健全な年頃の男子ならば、取ってしかるべき行為なのだから。だがそれはあくまでも、そのために作られたビデオや本を用意ての話だが。
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