その日、僕は神になった
 腰をずらす仕草を取りながら、膨れ上がったそれの位置を修正した。朝からこんな感じでは、今日は帰ってから自己嫌悪に駆られる羽目になりそうだ…。そう思いもう一度彼女の横顔を盗み見た。
 弁解にしか聞こえないかもしれないが、決して彼女のことをそんな目でばかり見ている訳ではない。それだけだったら、わざわざ同じ高校を選択したりはしない。ならば彼女のどこにそこまで惹かれたのだろうか?性格だろうか?だが彼女と話したことなんて、自己嫌悪に陥った回数よりも少ない。そもそも、二人だけで話したことなんて合ったのだろうか?
…一度だけあるぞ、高校の入学式の日だ。それも彼女の方から声をかけて来たのだ!
 今から思えば、新たな環境で知った顔が少ない中、偶然知った顔を見つけたからだろうが、それでも天にも昇る程の至福に包まれたことを覚えている。多くの友人に囲まれる今となっては、そんな奇跡のようなことは起こらないが。そう、あれは白昼夢のようなものだったのだ。
< 162 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop