その日、僕は神になった
 全てのことは順調に進んでいた。何も問題はなく、このまま全てが上手く行くはずだった。スタートこそは失敗したが、それも大事には至らずに済んだと思っていた。その楽観さが甘かったのだ。
 今思い出してもゾッとする、神任命直後の挨拶を思い出すと、だ。まさかあの場所であのような発言をするとは夢にも思わなかった。ある程度混乱することは計算の内だったが、その計算を遥かに凌ぐコメントだった。幸いにも平和ボケした連中ばかりだったので、ユーモアとして捉えられその場は凌ぎ切ったが、下手をすればあの時点で全ての計画がオジャンだった。
 その後も神の不可解な行動に疑問を抱く者も現れず、全ては上手く進んでいると錯覚してしまった。それが今になってその異変に気付いた者が現れた。それも計算の内には入ってはいたことだ、天界は優秀な人材の倉庫なのだから、首尾よく全ての者を騙せるとは思っていなかった。だがその異変に気付いた者が、よりによってカムイであったことは最大の計算外であった。
< 191 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop