その日、僕は神になった

「神の身には何も起こっておりません」
「ならばなぜ、私の質問が分かったのかね？」
「神から伺ったからです。カムイ、あなたがあらぬ疑いを抱いている、と」
「神ともあろう者が、秘書に相談ですと？」
　カムイの表情がせせら笑うようなそれに変わった。
「私は神の秘書です。神の相談に乗ることは極、自然なことではないでしょうか？そして神は仰っていました、あなたがきっと私に接触を図って来るだろうことも」
　カムイのせせら笑いは次第に大きくなり、彼は腹を抱えるようにして笑いだした。
「茶番はお終しまいだ。私には分かっているのだよ、神の身に起きた異変に！私があらぬ疑いを抱いているというならば、そう思った根拠に対して、私が納得行くような説明をしてくれたまえ！先ず一つ、なぜ神は就任の挨拶の際、あのようなお角違いのコメントをしたのだ？」