その日、僕は神になった

「そう言い張るならそれでもいい。だが私が疑いを抱いていることはそれだけではない、なぜ彼はビートルズを聞き出した？それも一曲や二曲ではない、ヒマさえあればビートルズを聴いているではないか。彼は根っからのローリングストーンズ派だったはずだ」
「私が勧めたからです」
「神も同じことを言っていたよ。秘書に勧められたから、とね」
「神という立場に慣れないままに、就任の儀や神々の鉄鎚に関する会議に疲れ、悩んでいる神の姿を見て、私がLet it beを勧めたからです」
「あるがままに、ね。確かにその時の彼には救いのような言葉だったかもしれないな。だからといって、趣向が百八十度変わるとは思えない。まるで人が変わったかのようだ。そう、まったく別の人物にでもなってしまったかのようだ！」