その日、僕は神になった
「そんな挑発には乗らないぞ!音楽だけではない、ありとあらゆる面で神の趣向が変わっていることを掴んでいるのだ!それをどう説明する?さぁ、私が納得するように説明してくれ」
 黙ったままではいけない、何か言わなくては…、そう焦れば焦る程に、私は言葉を失っていった。
「まぁいい、君がそうにやって黙りこんでいることが、神に何らかの異変が起こったことの証拠だ。そして、君がこの一件に関して一枚噛んでいることの、ね。これ以上何を言っても君からは有力な情報は得られないだろうが、私の推測は確信にまた一歩近づいた」
 これ以上もたもたしてはいられない、カムイは他にも、神に疑いを持つきっかけとなった幾つかのカードを揃えているようだ。彼の言葉にはそのようなニュアンスが含まれていた。それは果たしてハッタリなのだろうか?それとも、私が気付いていないような何かを掴んでいるのだろうか?怒りに我を忘れそうになっても、その手の内を全て明かさない冷静さに、彼の手強さを痛感した。神々の鉄鎚に関しても、先日の会議で大分話が進んだようだ。時間はない、いよいよ次のステップに進む時がきたのだ。
去り行く彼の背中を眺めながら、私は決心を固めた。
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