その日、僕は神になった
 そして、アムーフ何て者はもともと存在しないのだから、いくらアムーフとしての記憶を取り戻そうとしても、それは無意味だったんだ。だがあそこでスバルという本当の名を教えていれば、折角奪った記憶を取り戻されてしまう。いくら君が優秀でも、神に任命された俺の能力には敵わないだろうからね。
 そしてもう一点。それは斉藤楓真としての記憶を取り戻させるための、ヒントにもなっていたこと。フウマ、ローマ字に変換して逆から読めば…、アムーフ、そう読めなくもない。ここに俺が斉藤楓真を楓真と勘違いさせられていた意味もあった、すぐにこのヒントに勘付かれないようにするためだ。神としての役目と称し、人間界の様子を見させ、人間の醜さ、その増悪を掻き立てるために生前の俺の姿を見させた。そして楓真ではなく、斉藤楓真と気付き、自分自身の正体に気付いた時に、仮定を断定に変えるための、時差的なヒントになっていた。
まぁ、この点に関しては、気付いても気付かなくてもいいと思っていたんじゃないか?
< 236 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop