その日、僕は神になった

　俺は東西南北の神々が集まる会議に参加していた。もちろんその内容は神々の鉄鎚の執行に関する内容だ。三人の神はそれぞれの意見を持合い、その詳細を決めている。大筋は前回俺が提案した内容、先代東地区の神が立案し、レイチェルから伝えられた内容からブレはない。
　俺はそんな三人の話合いを上の空で聞いていた。それでもその詳細が、もう時期形になるだろうことは察しが付いた。この会議が開かれるのも多くて二・三度だろう。下手をすれば、これが最後になるかもしれない…。
　俺は何を迷っているのだ？早く神々の鉄鎚の詳細が決まり、早々と執行されればいいではないか？そうすれば俺はお役御免となり、本来帰るべき場所、レイチェル曰く無に帰ることが出来るのだ。それが恐い訳ではない。生きていても、死んでまでもこんな面倒な目に合うくらいならば、サッサと無にでも何にでも帰りたい。先代とレイチェルのテロと呼んでも過言ではない計画、幸いにもそのことを知っているのは俺だけだ。俺がそのことを明るみに出さない限り、彼女に被害が加わることはないだろう。彼女と先代の計画は失敗に終わることになるが、彼女は今まで通り時期東地区神の秘書として務めることが出来、いつの日か自らの過ちに気付き、俺に感謝する日が来るかもしれない。そうすれば俺は無に帰ったとしても、彼女の中で永劫生き続けることとなるのだ。それが自らのタメであり、レイチェルのタメでもあるのだ。