その日、僕は神になった
 神々の審判、神々の鉄鎚…、私はそれが神々の鉄鎚ではないだろうかと、直感的に思った。普段ならば直感などという信憑性に欠けるものを信じる訳がないが、今日の私は冴えている、この直感はただの直感ではないという自負があった。だが神々の鉄鎚の執行が目的だとしたら、なぜわざわざこんな行動に出る必要があったのだろうか?そんなことをする必要もなく、神々の鉄鎚は執行されたはずだ。だが彼らの目的がその逆であったとしたら…、神々の鉄鎚の阻止が目的だったとすれば…。バカな、そんなことをする必要が一切ないではないか?この推理は間違っている、だとすればどこで間違えたのだろうか?
 …いや、待てよ、犯人の一人はレイチェルなのだ、それならば一見不可解なその目的も理解出来なくもない。なぜならば彼女には動機があるではないか。彼女は先代の神にも使えていた、そしてその先代は神々の鉄鎚に反対し辞任に追い込まれた、という事実が。そしてその二人の関係を考えれば…。
 だとすれば主犯は必然的に浮かび上がってくる。そう、先代、第五代目東地区神だ。先代の神は優秀だった、自らに起こりうるだろう事態を予測し、それでも尚その意志を貫き通すために計画を練り、その実行をレイチェルに託した。そう考えれば全ての辻褄が合う。
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