その日、僕は神になった
俺を轢いたドライバーは、更に車を加速させて逃げて行った。日本の警察は優秀だ、犯人はすぐに捕まり、法が奴を平等に裁いてくれるだろう。俺は不思議とその犯人に対して怒りを覚えなかった。もしそいつがすぐに停車し、救急車を呼んでいれば、俺は一命を取り留め、こんな目に合わずに済んだかもしれないのに、だ。だが一命を取り留めたとしても、そこに待っているのは苦しいだけの治療に辛いだけのリハビリ、そして何の希望もない明日だけだ…。そしてやっと怪我が完治したと思った矢先には、神々によって人類は滅亡させられるのだ。例外なく俺も神々の鉄鎚によって死んだ、いずれにせよ俺は死んでいたのだ。今となってはそれが早いか遅いかの違いでしかないように思えた