その日、僕は神になった
やはり神々の鉄鎚の執行に関して、悩む必要などないのではないだろうか?死が彼女を救う。このまま降ろすことの許されぬ十字架を背負ったまま生きていくよりは、一層無に帰った方が彼女のタメではないだろうか?一人で死ぬ訳ではない、みんな死ぬのだ。全ての悲しみの連鎖は断ち切られる。俺は世界最大の殺戮者となるのだ。ヒトラーもスターリンも目ではない、人類の歴史上最大の殺戮者の一人となるのだ。この双肩に、六十億の命の命運が託されている…。彼女たった一人のタメに六十億の命を左右するつもりはない。だが人間界では日々このような悲しみが生まれ、その悲しみが新たな悲しみを生んでいる。その終わりなき負のループを断ち切るためにも、俺は神々の鉄鎚を執行するべきなのではないか?それが人類全体のタメではないだろうか…?