その日、僕は神になった
 重い沈黙が続く。救いがあるとすれば、俺が反対し続ける限り神々の鉄鎚が執行されることはないこと、そして三人の神によって俺が辞任に追い込まれることはないことの二つだ。三人の神は先代を辞任に追い込むために、すでに神々の審判を執行している。この権利は就任中、一度しか行使出来ない。その二つの点に、勝機はあるのではないだろうか?
 いや、決定打としては役不足だ。ずっと反対し続けたとしても、彼らの考えが変わる訳もない。なにより時間が経てば経つほど我々の力は衰えていき、事態は更に深刻な段階へと進んでしまう危険すらある。
 では俺が神々の審判を執行し、三人の神を辞任に追い込むか?いやそれは不可能だ。神々の審判によって辞任に追い込めるのは一人の神だけだし、それにも他の二人の神の同意が必要なのだ…。出来ないことに対してこれ以上思考を巡らせていても仕方がない、今は現実逃避をしている場合ではないのだ。
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