その日、僕は神になった
不思議な気分だった。この喝采の嵐が、後何時間後にはブーイングの嵐へと変わるのかと思うと。俺はそんなことを考えながら、曖昧な笑みを浮かべてその喝采に答えた。鳴りやまない喝采、称賛の瞳、俺は左から右に視線を這わしていく。北の住人、南の住人、西の住人、東の住人…。俺は背筋が一瞬にして凍りついた。心臓を射抜くような鋭い視線、カムイだ…。
奴の存在を忘れていた訳ではない。だがあれ以来なんの接触もしてこなかった彼に対し、警戒心を緩めていたことは確かだ。奴は推測の域を抜け出す確証を握っていない、だからこそ何の行動にも出られないでいると思っていた。甘かった…、奴は何かを掴んでいる。そしてその手の内を、いつ公の場に晒せば一番効果的なのかと目論んでいる目をしていた。俺は首筋に鋭利な刃物を突き立てられているような気分になった。奴の目は、俺は全てを知っている、その気になればいつだってお前の息の根を止めることが出来るのだ、そう脅迫しているようだった。
俺は生唾を飲み込んだ。いつだ、いつ動いてくる。そしてその時、俺はどのようにして奴と対峙すればいい…。
奴の存在を忘れていた訳ではない。だがあれ以来なんの接触もしてこなかった彼に対し、警戒心を緩めていたことは確かだ。奴は推測の域を抜け出す確証を握っていない、だからこそ何の行動にも出られないでいると思っていた。甘かった…、奴は何かを掴んでいる。そしてその手の内を、いつ公の場に晒せば一番効果的なのかと目論んでいる目をしていた。俺は首筋に鋭利な刃物を突き立てられているような気分になった。奴の目は、俺は全てを知っている、その気になればいつだってお前の息の根を止めることが出来るのだ、そう脅迫しているようだった。
俺は生唾を飲み込んだ。いつだ、いつ動いてくる。そしてその時、俺はどのようにして奴と対峙すればいい…。