その日、僕は神になった
「やり残したことがあるからです。人間として生を受け、その生を全うするということを。正確に言えば俺は一度死んでいるのだから、生を全うしたことになるのかもしれない。でも死に対しての実感がない。そもそも死とはそう言うものかもしれないけど…。
 それだけじゃない、生に対しても実感がないんです。俺は死んだように生きていた。ただ生きているから生きていただけなんです。そんな人生を、生を全うしたとは言えない。
 だからもう一度、人間として生を受けるチャンスを与えられるのならば、今度こそはその生を全うしてみせたいんです。
 神々、これは俺からのお願いです。聞いていただけますか?」
 三人の神は静かに首を縦に振った。

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