その日、僕は神になった
「では斉藤楓真、新たな人類が誕生し、再びその生を受けるまで、あなたにはしばし眠りに付いていただきたい。色々と疲れたでしょう、ゆっくり休んでください。準備はいかがかな?」
 もう一つだけお願いがあります、そう言って俺は続けた。
「この天界で一番お世話になった、レイチェルに、二人きりでお別れをしたいんです」
 分かりました、俺は北の神に礼を述べ、彼女の手を取り会議室を後にした。俺がこの天界にやってきた日は、逆に彼女に手を引かれて、東の神殿の会議室から引き摺りだされたんだよな、そんなことを考えながら。
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