いも☆こん
 
帰宅した足音は階段を昇り、俺の部屋の前で止まった。


──コンコン

「みつるー、いるのー?」





居ないことにしたい





「どうしよう。なんて説明しよう…」

「だから心配いらないって」

「…そうか!友達ってことにすればいいんだよな」

だいいち帰ってきた母に開口一番で
「お姉ちゃんができた」なんて言えるワケないし

言ったところで「はあ?」ってなるよな




「いるよー。今さっき帰ってきたー」


母の声に返事をする。


「ちょっと開けるわよ」


何も躊躇う必要などない。


息子の部屋に女子、息子にそんな甲斐性があったのかと驚かされることはあるにせよ

思春期の男子の部屋に女子が度々訪れるのは何も不自然なことではない。

何をビビッてるんだ俺は……



なまじ恋愛経験がないだけにテンパるぜ



──ガチャッ

「みつる今日ご飯どうするー……って」

やはり固まったか


息子の知られざる色恋沙汰に驚きを隠せない母親、といったところだろうか。


「お姉ちゃんッ!!」

「そうそう、今お姉ちゃんが来てるんだよねぇ……」



って……






母さん?





 
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