いも☆こん
 
まず、IBU独自の手法で開発に成功した赤褐色の粉末。

ゼラチンをベースに様々な薬剤を配合した…結局のところ理解不能な謎の粉。


それを俺の唾液で溶かしながら、箸でダマがなくなるまで掻き混ぜていく。

しばらくするとゼリー状の赤く透き通った液体が完成した。


「コレ、自分で食べたらどうなるんですかね」

「試してみるか?」

「遠慮しておきます」


本来はコレをペットボトルの空き蓋などに流し入れ、冷蔵庫で固めてグミにするらしい。

しかし今回は時間短縮のため、カプセルに詰めて……




「何してるんですか」

「ライフルにカプセルを詰めてる」

ライフルッ!?

「こいつを気になる妹候補の口内目掛けて……バキュン☆」

狙撃っすか!!

「…そ、そそんな急いで妹欲しいワケじゃないんで大丈夫です!」

「安心しろ。中身はカプセルだ、風穴一つ開かない。傷物にはならん」

そういう問題じゃ……



「…………」

「そんなに不安ならユマが試し撃ちしてやろうか」

「…お願いします」

「うむ」


たかが飲用カプセルが人の身体を貫くとも思えないが、もし万が一何か起こった場合は全責任をユマ(年齢不詳)に押しつけよう。




「いくぞっ」


ベランダに俯せになり、暗闇からスコープを覗くユマ…ライフルを構える姿が定まっている。

妙に出で立ちが様になっていて、俺に緊迫感を与えた……





─ヴァキュンッ!!!





……ってモロ銃声ッ!!?

「ちょっ、大丈夫なんですか?」

「…………」


俺の問い掛けに無言で立ち上がると、ユマは申し訳なさそうに答えた。


「……やっちゃった」





イヤァアアアアアア!!!




 
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