いも☆こん
ひょとして朝川さんは何か、家庭に恵まれていない状況下に置かれているのではないだろうか……
そんなことを妄想したのも束の間
やはり不確かな三次元よりも確かな二次元が自分の性に合っている。
それはリアルで恋愛できない己が生み出した別人格による逃げともとれるが
そんなことは置いといて
学校から帰るや否や、オレは自室に籠り、テレビ画面越しに妹と触れ合った。
所詮こんなものだ。
ロクな恋愛をしたことない。という台詞すらも発することのできないチェリーボーイである。
膨らむのは頭とトランクスの中ばかり。
しかし、そんなオレでも……
「やっぱ生の手応えは違うのか……?」
いっちょまえに、現実に思いを馳せるひとときもある。
男だし。当然だ。
いつしか画面越しの妹に語り掛けていた。
でも目をつむると浮かんだのは
……朝川さん…いや、ミヤビ……
「はっ!!」
我ながら痛々しい時間の使い方をしていること気付き、目が覚めた。
覚めたところで痛々しいゲームに熱中することに変わりはないのだが
「……触ってみたいよなぁ、生乳」
この後に及んで、まだそんなことを思ってしまった。
画面上とはいえ、バーチャルに揺れる胸はオレの思考回路を狂わせる。
これ以上のロスタイムは目前の全クリに差し支えると判断し、気を取り直してゲーム機のコントローラーに手を掛けた刹那
「触りたいじゃねえ、揉みたい…だろ?」
ベランダから網戸越しに、変な格好をした女は言った。