「いや。トネさんは俺の姿が見えなかったら三塚に聞く筈だ。俺に飴ちゃんをくれるのが日課だからな」

確かに。

トネさんはいつでも飴をくれます。中島先輩が居ない日は、先輩用のをわざわざ紙ナプキンに包んで本官に託(コトヅケ)けていくのです。

「トネさんは『私が来なかったら寝込んでるか死んでるかのどっちかだから』って言ってた。悪いが三塚。トネさんとこへ様子を見に行ってくれないか」

「先輩は?」

本官は『そんなことは区の福祉課に任せればいいのに』との言葉をやっと飲み込んで聞きました。

「俺は景品交換所に行く。何だか胸騒ぎがするんだ」

中島先輩の真剣な表情に押されて、本官は渋々承諾しました。



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