「解りました。でも先輩、本官はまだこの土地に明るくありません。トネさんの家へは先輩が行かれた方がいいのでは」

承諾したとは言っても渋々です。本官は意見のひとつでも言ってやりたくなり、可愛くない提案をしたのです。

「新米のお前を、強盗が潜んでいるかも知れない現場にひとりで行かせるわけにはいかんだろう」

中島先輩は、景品交換所に賊が押し入ったとみていたのです。

「それは先輩も同じです。景品交換所に二人で向かって、異常なければトネさんの所へ行きましょう」

単独行動の危険は学校時代にイヤという程叩き込まれていたので、本官はそう持ち掛けました。


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