橋
昨日はあれから大ご馳走をたらふく食べて、赤頭巾ちゃんとお婆ちゃんを飲み込んだ狼みたいに寝転がった。
俺は寝つきが良く、大抵夢は見ないんだけど、その夜は大変だった。何しろ次から次へと幸せな事が巻き起こり、とうとう一国の国王に迄なったんだ。
久々に見た夢はまさに夢の様な話だったけど、起き抜けの頭にもしっかり記憶として残っていて、昨日作成した『足りない物リスト』と首っ引きで廃材を見繕う俺を、今も幸せな気分にしてくれている。
「ふふ〜ん。今朝も昨日の残りでご飯二杯も食べて。その腹を減らす為の労働だなんて、こんな贅沢無いよ」
ニヤニヤしながら廃材を漁るこの姿は、明らかに『怪しい人物』だろう。
「おい君っ! ちょっと何してる!」
俺はそこへやって来た警察官に、厳しい調子で投げ掛けられた。
「なにっていつもの事ですよ。三塚ミツカ巡査、お勤めご苦労様です」
俺が敬礼をして返すと、彼も途端に破顔して言った。
「なんだぁ、おたくだったのかぁ。いや『怪しい人が居る』って通報が有ってね?
管内で不審火が相次いでたから、放置する訳にもいかないしでさ」
「すいません。お手数掛けました」
普通通報で出動した場合は、不審者と思われる人物からの職務質問調書が必要らしいのだが、三塚さんは「適当に書いておくから」と帰っていった。
俺は寝つきが良く、大抵夢は見ないんだけど、その夜は大変だった。何しろ次から次へと幸せな事が巻き起こり、とうとう一国の国王に迄なったんだ。
久々に見た夢はまさに夢の様な話だったけど、起き抜けの頭にもしっかり記憶として残っていて、昨日作成した『足りない物リスト』と首っ引きで廃材を見繕う俺を、今も幸せな気分にしてくれている。
「ふふ〜ん。今朝も昨日の残りでご飯二杯も食べて。その腹を減らす為の労働だなんて、こんな贅沢無いよ」
ニヤニヤしながら廃材を漁るこの姿は、明らかに『怪しい人物』だろう。
「おい君っ! ちょっと何してる!」
俺はそこへやって来た警察官に、厳しい調子で投げ掛けられた。
「なにっていつもの事ですよ。三塚ミツカ巡査、お勤めご苦労様です」
俺が敬礼をして返すと、彼も途端に破顔して言った。
「なんだぁ、おたくだったのかぁ。いや『怪しい人が居る』って通報が有ってね?
管内で不審火が相次いでたから、放置する訳にもいかないしでさ」
「すいません。お手数掛けました」
普通通報で出動した場合は、不審者と思われる人物からの職務質問調書が必要らしいのだが、三塚さんは「適当に書いておくから」と帰っていった。