本官は先輩の言ってることだけをすれば良かったのです。

拙い自分の考えなど、挟むべきではなかったのです。

「待て! 駄目だサイブー」

本官が連絡に気を取られている隙に、サイブーが先輩へ向かって駆け出しました。

「中島巡査ぁぁあ」

「サイブー、こっちに来るな!」

それまでは先輩を睨み付け、笑ったり凄んだりしていた犯人でしたが、やおら振り返るとサイブーを見付け、持っていた文化包丁を振り上げました。

「危ないっ!」

先輩はサイブーと犯人の間に飛び込み。何が起こっているのか、訳が解らない様子で立ち尽くしているサイブーを抱きかかえました。


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