「ぐあっ!」

ゆっくりと振り下ろされた包丁は、サイブーを抱え込んで丸まった先輩の背中に突き立てられました。

「あっ、あああぁぁぁ」

余りのことに本官の足は全く動きません。その間にも先輩は、幾度となく刺されてしまったのです。

すると京子ちゃんが叫びました。

「三塚巡査!」

その声に我を取り戻した本官は、着ていたジャケットを腕に巻いて犯人に飛び掛かりました。

「なんだぁ、お前はぁぁ」

ヘラヘラと笑いながら包丁を振るう犯人。犯人が突き刺して来た所をジャケットで避け、身体を預けるようにしながら大外刈りで足を蹴り上げました。


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