もんどり打って倒れた犯人は頭をしこたまコンクリートに打ち付けたようで、倒れた姿勢のまま動かなくなりました。

「先輩っ!」

「……ああ三塚。刺されちまった。サイブー大丈夫か?」

「中島巡査ぁ……血が出てるよう、大丈夫な……の?」

「ああ、大丈夫だ。こんなの大きめの蚊に刺されたようなもん……ゲホ……ん。ヤバイか」

先輩は口から血を吐いて踞ります。

「じっとして! 救急車がもうじき来ます」

「ああ、先に刺されたお嬢さんを運んでやってく……ガホッ」

「彼女なら大丈夫です。切られたショックで気を失っていたようです。傷は負われているようですが浅いです」

先輩は力なく微笑んで頷きました。


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