「いだだだ、何するんだ!」


 痛がる犯人をよそに足と手を縄で引き絞り、エビ反った格好にさせてから交番へと急いだ。



──────────────



「三塚巡査っ! 三塚巡査ぁっ!」


 今更ながらに恐怖感に襲われ、ガクガクと腰砕けになりながら交番へ飛び込む。


「貴方は『橋の下御殿』の……。三塚はパトロール中ですが、どうかしましたか?」


 三塚さんの同僚、鴨下さんだ。彼はのんびりと椅子を勧めながら、書き物を続けている。


「そんな悠長に構えてる場合じゃないんです。三塚巡査に連絡取れませんか? 一大事なんです一大事!」

「まぁまぁ。落ち着いて下さいよ。そろそろ帰ってくる頃ですから」


 丁度その時、裏手で自転車のスタンドを立てる音がした。三塚さんが帰ってきたのだ。


「ほらね?」


 鴨下さんの小さい目がいたずらっぽく微笑んだ。


「ああ疲れた。本官もバイクの免許取ろうかなぁ、おっ? おたくは……」

「早く早く三塚巡査、居ない時に捕まえたんですよ! エビです、ペットボトルがっ!」


 俺は呂律が回らない舌で猛烈に支離滅裂な事を捲し立てた。


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