「ぷっ」「ふふっ」

「あはははは」


 俺達は互いの顔を見合わせて笑い合った。


「すいません、当たる訳無いですよね」

「いやいや。余計に貰えないよ、そんな大きな夢は! ははははっ」


 だがどうしてもお礼がしたいと言う彼女の言葉に俺は、連番で買ったというそれから一枚だけ貰う事にした。


「これで夢の共有だ。当たるといいね!」



抽選日が過ぎ──────────────



 俺は当選発表がされている新聞を拾う事が出来なかった。そもそもニュー御殿竣工のバタバタに紛れて、肝心の抽選券もどこかに行ってしまっていたんだ。


「兄ちゃん、元気か? 邪魔するぞ?」


 竣工の知らせを聞き付けて広瀬さんがやって来た。


「竣工祝いだ、それとお客さんだ」

「凄いな、これを独りで?」


 広瀬さんが連れてきたのは工務店の社長さんだった。

それから話は面白いように進んで、俺はそこに面倒を見て貰う事になった。


「折角作った御殿だが、どうだい? うちの寮に入らないか? ここからそんなに遠くないし、電気もガスも、勿論風呂も有る」

「本当ですか? 有り難うございます。広瀬さん、有り難うございます」


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