「??」

「!」

「!!!」


 聞き覚えの有る声に顔を覗き込んでみると、なんと例の彼女だったのだ。


「いっやぁぁ、久し振りだねぇ。元気だったの?」

「なんだかまた助けて貰っちゃって……。でもあれからどうしてたんですか? おうちからも居なくなっちゃってたし」

「ああ、あれから間もなくだったからね。ああ先輩、大丈夫ですから」


 先輩は意味有り気な笑顔で俺を見て、肩を竦めている。その視線には取り合わずに「もう平気ですから」と言って聞かない彼女を半ば無理矢理、医務室迄連れていった。


「ささ、まず腰掛けて」


 彼女にバスタオルを掛け、ビニール皮革で覆われた簡易ベッドに座らせる。


「君と出会ってから、幸運にもすぐ仕事が決まったんだよ」

「私も貴方に助けて頂いたお陰で沢山のお金を手にする事が出来ました。有り難うございます」

「ええっ? 本当に当たったの? 凄いね、良かった! 幾ら当たったの?」

「一億円ですけど、何を他人事みたいにおっしゃってるんですか?」

「い、一億円!」


 彼女はあの弘二から持ち逃げされた分どころか、それを補って余りある大金を手にしたというのだ。


「貴方はどうしたんですか?」

「なにが?」

「またぁ、一等の二億円ですよ!」


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