「そんな深刻な顔、することないじゃない! リーンカーネイション。輪廻転生よ!」

可奈子は満面の笑顔でゴブリンにそう言ってのけた。

「輪廻転生……」

「そう。時代の中を何代にも渡って生き抜いて来たの。或る時はお医者様、また或る時は絵描きさん」

「そしてまた或る時は土木工事の現場監督だった、というわけか……」

アダッヂオはそう言うと腕を組み、こうべを垂れた。目蓋を閉じて何かを思い出そうと顔を上げ、目を閉じたまま溢す。

「でもな、可奈子。俺は他にも空飛ぶ機械の設計をしたり、重い物を持ち上げる道具を作ったりもしていた。……うん。だんだん記憶がはっきりしてきたぞ?」

アダッヂオはカッと目を見開き、立ち上がった。


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