「それらは多分、同じ時代に俺がやったことだ。記憶の中に有る周りの建物や人々が着ている服にあまり変化が見られないしな」

可奈子はアダッヂオに負けないくらいに目をまん丸にし、彼を見返す。

「そんな何でも出来る万能な人、居るわけ無いじゃない。アダッヂオったら冗談が上手いんだからぁ!」

「万能……万能……」

少しひきつった笑顔で見守る可奈子をよそに、ゴブリンはまた回想に没入していく。

「ウォモ……uomo universale,【ウォモ・ウニヴェルサーレ】」

それはアダッヂオの心からでなく、彼の唇から発せられた言葉だった。

「それって何語? ポルトガル語かしら」

語感から当たりを付ける可奈子。


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