「サライって? レオナルド。これは私の遣い魔、トゥインクルが擬態した人間よ?」

しかしゴブリンは自分を信じて疑わない。

「サライは愛称さ。ああ、愛しい私の小悪魔(イタリア語でサライ)ジャン・ジャコモ・カプロッティ。私はお前の美しさを完璧にキャンバスへ描きたくて……?……!!」

言葉に詰まったレオナルドの顔は、みるみるうちに戦慄の表情へと変わり、寒くも無いのにガタガタと全身を震わせている。

「どうしたの? レオナルド! 具合でも悪くしたの?」

「……ああ……いや……思い……出したんだ」

ゴブリンはぽつりぽつり、内臓をえぐり出すかのような苦悶の表情を浮かべて話し始めた。


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