「それはもう悪魔に魅入られたようだった。だから私はジャンに『サライ(小悪魔)』というあだ名を付けたんだ」

それからも何度となく盗みを繰り返すサライを追い出すこともせず、レオナルドは彼を傍に置き続けた。遂にレオナルドは、生涯妻を娶ることは無かったのである。

「確かに当時、男色は罪だったのかも知れない。しかしそれがゴブリンにされてしまう程の大罪だったのか?」

俺はレオナルドに詰め寄った。

「あ……それが……」

「それがなんだって?」

口ごもるゴブリンを責め立てるようにする俺を押し退け、可奈子が割って入る。

「がっちゃん! それじゃレオナルドが喋れないじゃない!」

彼女の剰りの剣幕に、俺はスゴスゴと引き下がった。


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