するとゴブリンは申し訳なさそうにまた独白を続ける。

「私は、解剖学にも通じていた。人間の骨格、筋肉の流れ、全てを知り尽くした上で肖像画を描いていた」

「さすが万能の人と呼ばれるだけは有るわね」

「しかしサライの美しさを、画面に表すことが出来なかったんだ! そして私は……」

「私は?……」

今度は可奈子がレオナルドに詰め寄っている。

なんだ。

俺とちっとも変わらないじゃないか!

そんな心の叫びは彼女に伝わる筈もない。すっかり相棒と化したトゥインクルだけが胸の内を悟って静かに頷いてくれていた。


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