宝石箱〜私達の宝物〜《短》
言いたくないけれど、嘘はつきたくない。
「私の話はいいよ。タロとハチは彼女いるの?」
私は質問に答えず、話を変えるためにタロとハチに話をふった。
「職業上、秘密ということで……」
そう言ったのはもちろんタロ。
だけどタロの表情を見てなんとなく好きな人がいるのかな、と思う。
「そんなこと言って本当はいないんだろ? 俺はもちろんいるよ! オーストラリアとカナダと香港に!」
ハチがジョッキを持ったまま、ゲラゲラと笑う。
そんなハチをシンチは驚いた顔で見つめ、ユッケは軽蔑した表情を浮かべている。
タロはたんたんと梅酒を飲んでるし……
本当に昔から変わってないんだから。
私はそう思って少し笑った。