宝石箱〜私達の宝物〜《短》

その後、先生達は諦めたのか呆れたのか。

もしくは私達の親やオイチャンがフォローしてくれたのかよくわからないけれど。

しばらくすると何も言ってこなくなった。


……今考えれば当時の私達の行動は軽率だったと思う。

いくら助けてくれたとはいえ、知らない人が経営している居酒屋に遊びに行くなんて危ないことだし、なにより小学生の私達が出入りするなんて迷惑だ。

それでも。

オイチャンが悪い人ではないと思った私達は正しかったと、今でも思う。


「オイチャンめ! いつまでも俺達をガキ扱いしやがって」

過去を思い返していたせいでぼんやりとしていた意識が、その声によってはっきりとしていく。

隣をみるとハチが悔しそうに生ビールをチビチビと飲んでいた。
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