宝石箱〜私達の宝物〜《短》
「よしっ! じゃあ出ますか! オイチャンおあいそー」
なかなか起きられないけれど、寝起きが一番良いハチが元気にそう叫ぶ。
少し眠ったおかげで体調が良いらしい。
「はいよ! まいどありー!」
手を拭きながら伝票を持ってきたオイチャン。
ちゃぶ台におかれた伝票を覗き込むと……金額はたったの一万円だった。
「オイチャン……俺ら結構稼いでるよ?」
「俺……一応No.1なんだけど」
シンチとタロがオイチャンをじーっと見つめる。
「ん? なんだ? 一万円じゃものたりんか? じゃあ百万円だ」
オイチャンは通路に立ちながら笑顔でそう言った。
「オイチャン無茶言うなよー」
ハチが呆れた声を出す。
「一万円か百万円しか受け取らん。さっさと出しな」
オイチャンはニヤニヤしながら、私達に右手を差し出した。