宝石箱〜私達の宝物〜《短》

オイチャンはいつもこうだ。

一万円か百万円。

このやり取りはすでに五年ほど続いている。

私は小さくため息をはいた。


「ちっ! おい、シンチとタロ。三千円よこせ」

するとハチがポケットから四千円を出し、シンチとタロも素直に三千円を出した。

「ちょっと! 私も出す!」

私は急いでカバンから財布を取り出す。


「うっせえ。ミィーサとはいえ女に金を出させたら男がすたる」

「いいから財布しまいなよ」

「ミィーサより俺の方が稼いでるから」

……この三人には“女に払わすのは格好悪い”という考えが根付いているらしい。

今時こんな考えもどうかと思うけれど。


「ありがとう。ごちそうさま」

「あんがとねえー」

私は頑固な三人にいつも負けてしまう。

……ちなみにこれも、オイチャンから教わったことらしい。
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