宝石箱〜私達の宝物〜《短》
オイチャンに私達が飲んだり食べたりした金額の半分にも満たないお金を払った後、お店を出た。
「じゃあなオイチャン。百万円、楽しみにしてて」
「いつか絶対に百万円払うから……」
「あはは! そうかそうか! 楽しみにしてるよ!」
見送りに出てくれたオイチャンは、シンチとタロの言葉に機嫌よさ気に豪快に笑う。
そんなオイチャンの笑い声にハチがピクッと反応した。
「オイチャン、笑っていられるのも今のうちだからな。いつか絶対に百万円払ってやる! シンチ、タロ行くぞ」
ハチはオイチャンの目の前に立ち、意地悪な笑みでそう宣言すると、さっさと歩き出してしまう。
「おいハチ! じゃあオイチャンごちそうさま!」
「ごちそうさまでした」
シンチは慌てながら。
タロはいつものマイペースでオイチャンにお礼を言うと、ハチを小走りで追いかけていった。