宝石箱〜私達の宝物〜《短》
「オイチャンありがとー!」
ユッケは紙袋の中身を確認した後、オイチャンに抱き着く。
オイチャンは子供をあやすみたいにユッケの頭を撫でた。
「よしよし……シンチに見られたら殴られちまうなっ」
「あはは! じゃあ行くね! オイチャンまたねー」
ユッケは元気良く手を振りながら、パタパタと走り出した。
「オイチャンありがとう。またくるね」
オイチャンは私の頭を撫でながら優しく微笑んでいる。
私はオイチャンに頭を撫でられると、無性に嬉しくなってしまうのだ。
だけどいつまでもそうしてはいられない。
多分、皆はあの電柱を曲がったところで私を待ってくれているはずだ。
「じゃあ行くね! オイチャンありがとう」
「おう! 風邪ひくなよー」
私はオイチャンに手をふりながら、皆が待ってくれている場所まで小走りで向かった。