宝石箱〜私達の宝物〜《短》

「それは私とタロに対する嫌み?」

ハチの言葉に甘いカシスオレンジを飲んでいたユッケが、ハチを軽く睨む。


「おっ! ユッケも嫌みに気付けるようになったか」

小ばかにするようにユッケの頭を撫でるハチと、そんなハチを鋭い目で睨むユッケ。

知らない人が見ればこの二人は今から喧嘩でも始めるのでは、と冷や冷やしてしまうのだろうけれど。

二人は昔からこういう関係だ。


「……ふんっ! もういいよ!」

頭に置かれていた手をパシッと叩き、ハチから顔を背けるユッケ。

その仕草がとても可愛く、私達は声を上げて笑ってしまった。


明るくて可愛いユッケは少し気分屋なところもあるけれど、それも魅力の一つだ。

ユッケは中学を卒業後、ネイルの専門学校に進学して見事にネイルアーティストとして成功した。

現在ではネイルサロンの経営者としても活躍している。
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