宝石箱〜私達の宝物〜《短》

私達は賽銭箱の前にある階段に、昔と同じように座っていた。

「んー! いい朝日だなー!」

ハチがおにぎりを片手に持ちながら、のびをした。

「本当だな……」

シンチはすでに食べ終わり、食後の一服中。

もちろん片手には携帯灰皿を持って。


「お腹いっぱい!」

ユッケが満足そうにお腹をさする。

その二つ下の段に座っているタロは、無言で嬉しそうにおにぎりを食べていた。


あの後。

封筒の中身を読み終えた私達は、全員無言になった。

それは目標が達成出来ていなかったから、ではない。

目標にしていた事以上のものを得ている自分に満足している沈黙だった。

その証拠に皆、笑顔だったから。

もちろん私も。
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