宝石箱〜私達の宝物〜《短》
場の空気が少し落ち着き、私は両隣に座るハチとタロを交互に見た。
ハチはちゃぶ台の下で携帯を触っている。
多分誰かにメールをしているのだろう。
タロは……壁に張ってあるポスターをじっと見ていた。
丸いちゃぶ台に座る私達は時計まわりに、私、タロ、シンチ、ユッケ、ハチと座っている。
別に決まってるわけじゃないけれど……なぜかいつもこの座り方になってしまうのだ。
「それにしても……俺達も、もう二十五歳か」
いつからこの順番で座るようになったのだろう、と考えているとシンチのそんな声が耳に届く。
シンチはタバコを灰皿に押し付けながら、何かを懐かしむような表情をしていた。
そんなシンチの表情に刺激されたのか、私の脳内にはハッキリと、皆と出会ったあの教室の映像が浮かび上がってきた。