天然王子は狼です
「責任…?」

「そう責任」

「…なっなんー」

なんで?と聞こうとしたあたしの口が塞がれた。


王子さまの唇に。


ちゅ…

軽いリップ音で離れた唇を見ながらあたしは絶句していた。



いまの……何??



王子さまの切なさげな視線があたしを捉える。


「俺は……病気になったかもしれない」


放心状態のあたしは腰を抜かしながら王子さまを見上げた。


「キミの笑顔を見てから心臓が…バクバク暴れるんだ。これは……病気…だ。心臓の病気だよな?」


「はい?」

心臓がバクバク?
病気?


「病気にしたのはキミだ。だから責任、とってもらう」


「あっあの~…意味が分からないです」


「だから……」

王子さまがあたしの顔の位置までしゃがみこんだ。


「この病気、治してよ。キミのせいだろ?」


はい??
え???
え???

頭がハテナでいっぱいになる。


「さっきキミを見たら…キスしたくなった。これも今まで感じたことのない感情だ。これも何かの病気かもしれない」


どきん!!それって……
急すぎる展開に頭はごちゃごちゃだけどあたしは切なさそうにあたしを見つめる王子さまに囁いた。

「あたし…も…です」


「え?」


「あたしも…あなたを見ると…心臓がバクバクします」


「本当か?」


「は…はい…」


王子さまは真剣に何かを考えるような仕草をしてそうか!と呟いた。


「じゃあ一緒に病院へ行こう!」


「へ?!」


あのー…へ?
これって、あなたなりの落とし文句じゃないんですか?


「よし、行こう!」

………もしかして……この人…

…天 然 ??



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